旺文社世界史事典 三訂版 の解説
マホメットなくしてシャルルマーニュなし
マホメットなくしてシャルルマーニュなし
ピレンヌが『マホメットとシャルルマーニュ』(1922)などの論文で発表。彼は西欧中世の始まりをゲルマン民族の侵入と西ローマ帝国の滅亡にあるのではなく,カロリング朝時代のイスラーム教徒の地中海進出・制覇と地中海貿易の途絶にあるとした。この結果,西欧は地中海から切り離されて,内陸農業国家へと変質し,カール大帝(シャルルマーニュ)がこれに対応した国家建設を行ったと考える。したがって,カール大帝の登場は,イスラーム勢力の進出という外部の衝撃なくしてはありえなかったと説く。彼の学説は大きな反響を呼び,その後批判説も出されたが,イスラーム勢力の地中海世界進出が西欧中世史に影響をおよぼしたという視点は,評価されている。
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