インド・ヨーロッパ語族に属し,ブロンドの髪,長身長頭,細長い鼻などの人種的特徴を有する,中世以降のヨーロッパ住民の基幹となる民族。スカンディナヴィア半島から北ドイツがその原住地と考えられ,北ゲルマン(デーン人,ノルマン人など),西ゲルマン(アングル人,サクソン人,アラマン人,フランク人など),東ゲルマン(ヴァンダル人,ブルグント人,ゴート人など)に大別される。彼らは早くより西方および南方に居住地域を拡大したが,前1世紀頃からローマ帝国と接触し,一部はローマ社会に融合し,他は離合集散を繰り返して民族大移動期に至った。この時期以前のゲルマン社会については,ローマ側にカエサル,タキトゥスなどの文献があるが,政治的にはキウィタスと呼ばれる国家を基本とし,全自由民男子の民会がその最高機関を構成し,王または首長と呼ばれる貴族がこれを指導した。身分上,貴族,自由民,奴隷の区分があり,従士制の絆が人的結合の中心的役割を果たしていた。歴史的に知られている限りでは,定着的な農業,牧畜の経済を営み,土地所有もすでに平等ではなく,貴族制を助長していた。ジッペ(氏族団体)を単位とし,フェーデ(血の復讎(ふくしゅう))を基本とするゲルマン法は,部族国家成立とともに賠償裁判制に改まったが,ローマ法とともに中世法の基本をなすものである。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
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