マーリク派(読み)マーリクは(その他表記)Mālik

改訂新版 世界大百科事典 「マーリク派」の意味・わかりやすい解説

マーリク派 (マーリクは)
Mālik

マーリク・ブン・アナスの名によって名づけられたスンナ派イスラムの法学派。シャーフィイー派が特定の地域にかかわりない法学派として成立した後,ハナフィー派と同じく,メディナの初期法学派がメッカのそれを吸収しつつ,発展的に解消してマーリク派となった。早くから上エジプト,北アフリカ,イベリア半島に伝えられ,のち北アフリカから内陸アフリカの各地に広まり,アラビア半島ではワッハーブ派およびイバード派の勢力の及ばない東部海岸地帯の一部で行われている。

 ハンバル派ほどではないにしても,マーリク派もまた排他的で,他の法学派との摩擦も多かった。しかしムラービト朝ムワッヒド朝の熱狂的な宗教・政治運動や,ウスマン・ダン・フォディオの〈ジハード国家〉などは,それらの地域で行われていたマーリク派法学の,預言者のスンナが支配するメディナの原始イスラムのウンマに対する回帰の念と無関係ではあるまい。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...

実質賃金の用語解説を読む