改訂新版 世界大百科事典 「シャーフィイー派」の意味・わかりやすい解説
シャーフィイー派 (シャーフィイーは)
Shāfi`ī
シャーフィイーの教えに従う弟子たちが,クーファ,メディナの初期法学派に対抗し,法源(ウスール)についての厳格な方法論を確立した師の学説を広める目的で結成したスンナ派イスラムの法学派。したがってハナフィー派,マーリク派と違って特定の地域との結びつきは薄く,最初バグダードとカイロがその中心であった。やがて下エジプト一帯に広まり,10世紀にはシリアとイランの都市部で支配的学派となり,アイユーブ朝のサラーフ・アッディーンの保護を受けてエジプト,シリアで栄えた。現在シャーフィイー派が支配的な所は,下エジプト,シリアのほか,アラビア半島南部,インドのマラバル,コロマンデル海岸,マレー半島,マレー諸島,東アフリカで,このことはシャーフィイー派がイスラム商人のインド洋貿易とともに広まったことを示唆するようである。アシュアリー,マーワルディー,イマーム・アルハラマイン,ガザーリーなど,高名な学者でこの派に属するものが多い。
執筆者:嶋田 襄平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報