ミコック文化(読み)ミコックぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「ミコック文化」の意味・わかりやすい解説

ミコック文化 (ミコックぶんか)

前期旧石器時代のアシュール文化の最も進化した文化を呼ぶ。フランス,ドルドーニュ地方のミコックMicoque岩陰を標準遺跡とし,そこではタヤク文化ムスティエ文化上層に位置する。リス-ウルム間氷期末からウルム氷河期初頭の層に認められるので,中期旧石器時代にあてられることもある。すなわち,年代的にはムスティエ文化と部分的に並行する。ルバロア技法を伴うか否かは遺跡によって異なり,ムスティエ文化の場合と同じである。南西フランスの岩陰,北フランスの開地遺跡に知られるほか,西アジアのウンム・カタファ洞窟,タブーン洞窟,チュニジアシディ・ジン遺跡でも報告されている。石器のハンド・アックスに特徴がある。基部が厚く,先端部は薄い。両縁がわずかに凹形を呈し,先端はかなり鋭い。さらに心葉形ハンド・アックス,削器,背付石器のほか,後期旧石器時代の石器的な搔器彫器をも伴う。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のミコック文化の言及

【アシュール文化】より

…後期では三角形を呈し,先端が鋭くつくり出されたものが多くなる。フランスのドルドーニュ地方ではウルム氷河期になって特殊な発展が認められ,それはミコック文化の名で呼ばれている。ただアシュール文化における石器製作技術の進展は,最近ではヨーロッパよりもアフリカでよりよく知られている(タンザニアのオルドバイ遺跡)。…

※「ミコック文化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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