ミーチ湖憲法協定(読み)ミーチこけんぽうきょうてい(英語表記)Meech Lake Accord

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミーチ湖憲法協定」の意味・わかりやすい解説

ミーチ湖憲法協定
ミーチこけんぽうきょうてい
Meech Lake Accord

ケベック州だけが憲法に署名しないという 1982年の憲法移管以来の変則的な事態を解決するために,87年にカナダ,連邦・州首相間で合意された憲法改正案。基本的には,集権型と分権型の2つの連邦理念の対立狭間でできた折衷型権力配分案といえる。トルドー元首相の集権型連邦理念への歯止めを意図し,現状肯定,すなわち全会一致制による連邦・州関係の制度化と,フランス語系の市民の言語的安全保障の追求 (同化の拒否) の容認,という2点を主眼としていた。内容は,ケベック条項の挿入 (ケベック州をカナダにおける「独特な社会」と位置づける) ,移民条項の挿入 (ケベック州をはじめ各州に移民の選択権を与える) ,最高裁判所の構成の変更 (ケベック州は9人の判事のうち少くとも3人を指名できる) と憲法上の位置づけの明確化,連邦歳出権限に関する規定の改正,連邦・州首相会議の憲法上の位置づけ (定例化と議事項目の規定) などの7項目から成っていた。しかしながら,批准期限の 90年6月になっても全州の批准を得ることはできず,廃案となった。

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