ムカシハダカ（読み）むかしはだか（その他表記）California flashlightfish

日本大百科全書(ニッポニカ)

ムカシハダカ
むかしはだか / 昔裸
California flashlightfish
[学] Protomyctophum crockeri

硬骨魚綱ハダカイワシ目ハダカイワシ科に属する海水魚。北海道や東北地方の太平洋沖、ベーリング海、アラスカ湾など北太平洋に分布する。体は太短く、高さは前半部で高い。体高は体長の3分の1よりすこし低い。頭長は体高にほとんど等しい。吻(ふん)は丸く飛び出し、吻長は眼径のおよそ半分。頭長は眼径の約2.5倍。背びれの起部は臀(しり)びれ起部よりかなり前方から始まる。背びれは11～13軟条、臀びれは19～24軟条。脂(あぶら)びれ（背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ）は臀びれ基底（付け根の部分）後端のすこし前上方にある。胸びれは13～17軟条、腹びれは8軟条。鰓耙(さいは)は上枝に4～6本、下枝に14～18本。側線は不明瞭(ふめいりょう)である。

　また、発光器は種の重要な特徴である。尾柄(びへい)上部発光腺(せん)SUGL（図中⑯、以下同）と尾柄下部発光腺INGL（⑰）があるが、雌の尾柄下部発光腺は小さくて不明瞭。肛門(こうもん)上発光器SAO（⑫）は3個で、等間隔でほとんど水平に並び、最前のものは4番目の腹部発光器VO（⑪）の上方あるいはやや前方にある。すべてが腹びれ上発光器VLO（⑨）とほぼ同じ高さにあり、側線と体の腹縁の中間より下方に位置する。腹部発光器は4個で、水平に並ぶ。胸びれ上発光器PLO（⑦）と胸びれ下発光器PVO（⑧）は胸びれ基底よりも下にある。体側後部発光器Pol（⑭）はない。前部臀びれ発光器AOa（⑬）と後部臀びれ発光器AOp（⑮）は連続して1列に並び、両発光器の総数（AO）は12～16個で、最後の2～3個は臀びれ基底後端より後方にある。尾びれ前発光器Prc（⑱）は2個で、尾柄後端下に水平に並ぶ。

　最大体長は4.6センチメートルほどになる。沖合いの水深1000メートル以浅にすみ、夜間には表層近くまで日周鉛直移動をする。

　体が太短くて高く、尾びれ前発光器が2個あり、胸びれ上発光器が胸びれ基底の上端より下方にあること、前部臀びれ発光器と後部臀びれ発光器が連続することなどで、オオメハダカP. thompsoniやダルマハダカに似るが、オオメハダカは2番目の肛門上発光器が1番目よりも3番目に近いこと、最前の肛門上発光器が3番目の腹部発光器の上方にあることなどで本種と異なる。また、ダルマハダカは2個の胸びれ下発光器が斜めに並び、胸びれ上発光器が前の胸びれ下発光器の上に位置し、それらが正三角形を形成することなどで本種と区別できる。

［尼岡邦夫　2025年2月14日］

[参照項目] | ダルマハダカ | ハダカイワシ

ハダカイワシ科魚類の発光器の位置と名称…

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)