化学辞典 第2版 「メタアンチモン酸塩」の解説
メタアンチモン酸塩
メタナチモンサンエン
metaantimonate
組成式がMⅠSbO3で示される物質(または相当する MⅡ,MⅢの塩).MⅠ3SbⅢ O3とは異なり,独立したSbⅤ O3は存在しない.【Ⅰ】ヘキサヒドロキソアンチモン(Ⅴ)酸塩の水和物を,MⅠ[Sb(OH)6] = MⅠSbO3・3H2Oと考えて,これらもメタアンチモン酸塩とすることがある.【Ⅱ】大部分はSbとMの複酸化物であるが,Mの種類によりいくらか構造は異なる.
(1)M = アルカリ金属では,正八面体型のSbO6が互いにO原子を共有して三次元構造をつくり,そのポリマーのすきまに相手金属が規則的に配列している.たとえば,NaSbⅤ O3は立方晶系.Sb-O約1.94~2.28 Å.Na塩は,Sb2O5,Sb2S3などをNaOHおよびNaNO3と溶融すると得られる.無色の結晶.陶磁器,ガラス,ほうろうなどの乳白化,つや消し,不透明化などに用いられる(セラミックス,光学ガラス,ブラウン管など).有毒.
(2)そのほかの金属(MⅡなど)では,正八面体型のSbO6と,MOn(多くは正八面体型六配位MO6)が互いにO原子を共有して,規則的に配列している.ただし,Mの種類により,構造はやや異なる.M = ZnではSb-M約2.00 Å.また,MⅡ = Mnでは斜方晶系のコルンブ石型,M = Ca,Ba,Cd,Hgなどでは六方晶系.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報