日本大百科全書(ニッポニカ) 「メダン派」の意味・わかりやすい解説
メダン派
めだんは
Groupe de Médan
ゾラを師と仰ぐ青年作家グループ。19世紀末、パリ近郊メダンにあるゾラの別荘に集い、自然主義文学運動の拠点となった。プロイセン・フランス戦争をテーマとする作品を持ち寄った『メダンの夕べ』Les Soirées de Médan(1880)を発表、全編に共通する徹底した反戦思想のために大きな反響をよんだ。なかでもゾラの『水車小屋の攻撃』は完成度の高い小品であり、さらにモーパッサンの『脂肪の塊』はフロベールに激賞されて彼の出世作となった。ほかにJ・K・ユイスマンス、レオン・エニックLéon Hennique(1851―1935)、アンリ・セアールHenri Céard(1851―1924)、ポール・アレクシスPaul Alexis(1847―1901)の作品を収録。その後、ユイスマンスはじめゾラに離反する作家が出て、グループは数年後に解散した。
[工藤庸子]