インドネシア,スマトラ島北部の都市。スマトラ最大の都市で北スマトラ州の州都。人口198万3659(2003)で,そのうちの1/5を中国系が占め,流通部門で活動している。デリー河口から24km上流にあり,ブラワンBelawanがメダンの外港をなす。標高16m,年平均気温25.2℃,年平均降水量2034mm。
マレー人スルタンの支配するデリー王国の王都であったが,1870年以降,デリー,セルダン,ランカット地方がタバコ,ゴム,ココヤシなどのプランテーション地域として発展するにつれ,良港ブラワンをもつメダンは,その中心としてスマトラ第一の都市に成長した。このためメダンでは,デリー・スルタンの臣民たるマレー人は少数派に転落し,ジャワ人,ミナンカバウ族,華僑などが住民の多数を占め,1910年代後半以降,西洋式初・中等教育を受けた事務職員,鉄道,港湾労働者などを基盤に,反スルタン色の濃い民族運動がイスラム同盟,共産党,インドネシア党などの指導下に発展した。46年デリー王国のスルタン制を廃し,その北スマトラ州への編入の契機となった〈社会革命〉は,そうした古参の民族主義者の一人,元共産党員のカリムの指導下に行われたものであった。
1909年に市制を施行し,広い並木道をもつインドネシアで最もヨーロッパ化された都市の一つである。アフマッド・ヤニ将軍通り,スラバヤ通りがショッピング・センターで,メスジット・ラヤはインドネシアでも最大規模のモスクの一つである。国立北スマトラ大学,国際空港がある。
執筆者:別技 篤彦+白石 隆
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インドネシア、スマトラ島北部の都市。スマトラ島最大の都市で、北スマトラ州の州都。マラッカ海峡に注ぐデリ川の河口から24キロメートル上流に位置する。人口は168万5972(1990)で、うち5分の1を中国系が占め、各種流通部門で活躍している。2018年には、推計人口226万9588。19世紀なかばまでは一寒村にすぎなかったが、1860年代にオランダのたばこ会社がこの地方の支配権をもつスルタンから土地を租借し、農園を開いてから急速に発展した。外港としてブラワンが開かれ、周辺地のタバコ、ゴム、茶などのプランテーション産物の集散地として繁栄し、スマトラ島第一の都市に発展した。市街はインドネシアでもっとも西欧化した外観を呈し、美しい熱帯植民都市の典型とされている。ポロニア地区が官庁・住宅地域で国立北スマトラ大学も設置されている。インドネシアではジャカルタと並ぶ国際空港の所在地でもある。なお後背地のトバ湖やブラスタギ避暑地も観光地として脚光を浴びてきている。
[別技篤彦]
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