日本大百科全書(ニッポニカ) 「メロペ」の意味・わかりやすい解説
メロペ
めろぺ
Merope
ギリシア神話の女性。(1)アトラスとプレイオネの娘、すなわち7人のプレイアデスの1人。自分だけが人間であるシシフォスの妻になったことを恥じ、星になってもその光はもっとも弱い。(2)オイディプスの養父であるポリボス王の妃(きさき)。(3)アルカディアの王キプセロスの娘で、メッセニアの王クレスフォンテス(ヘラクレスの後裔(こうえい))の妻。義兄弟のポリフォンテスに夫と子供2人を殺されたうえ、むりやりその妻にされたが、末子アイピトスをひそかに落ち延びさせる。やがて成人した彼が仇討(あだうち)に戻ってきたとき、メロペは敵と勘違いをして危うく殺しかけるが、母子であることを認め合い、協力して仇討を果たす。エウリピデスの『クレスフォンテス』は散逸したが、M・アーノルドに『Merope』の作がある。
[中務哲郎]