シシフォス(読み)ししふぉす(その他表記)Sīsyphos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シシフォス」の意味・わかりやすい解説

シシフォス
ししふぉす
Sīsyphos

ギリシア神話エフィラコリントスの古名)の王。テッサリア王アイオロスとエナレテの子。およそ人間のなかでもっとも狡猾(こうかつ)な知恵者といわれる。悪事にかけては天才のアウトリコスが、彼の牛を盗んで露見しないようにその外観を変えたとき、彼は蹄(ひづめ)の裏に印をつけてこれを見破った。また、彼がこのアウトリコスの娘アンティクレイアに生ませた子が、オデュッセウスとする伝承もある。兄弟のサルモネウスを憎んでこれを殺そうとしたシシフォスは、サルモネウスの娘ティロを犯して子を生ませよとの神託を得て実行するが、この神託はティロの知るところとなって彼女はわが子を殺害する。また彼は、河神アソポスにその娘をかどわかした犯人がゼウスだと教え、ゼウスの怒りを買った。こうした生前の所業のため、彼は冥府(めいふ)において大石を山上へ押し上げ続ける罰を受けた。石は山上に達しかけると下に転がり落ちるため、彼は永遠にこの行為を繰り返さねばならないとされている。

[丹下和彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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