アトラス(読み)あとらす(英語表記)Atlās

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アトラス」の意味・わかりやすい解説

アトラス
あとらす
Atlās

ギリシア神話の巨人の神。イアペトスとクリメネの子で、ティタン神族の一人。兄弟にはメノイティオス、プロメテウスエピメテウスがいる。一説にはウラノスの子で、したがってクロノスの兄弟にあたる。オリンポス神族以前の神々の世代に属すアトラスは、他のティタン神族とともにオリンポスの神々と戦ったため、その罰として、ゼウスによって蒼穹(そうきゅう)(天空)を肩にのせて支える役を課せられた。彼は普通西の果てのヘスペリデスの国に住むといわれていることから、歴史家ヘロドトスは北アフリカの山脈をアトラスとよんだ。ペルセウスは、怪物ゴルゴン退治のあとアトラスにメドゥサの首を見せて、彼を岩塊に変えたといわれる。

 アトラスは、プレイオネからプレイアデスとヒアデス、またヘスペリスからヘスペリデスの娘たちを得た。ディオネも彼の娘と考えられており、さらに息子にはヒアスとヘスペロスがいる。後の伝承では、アトラスは天文学者(「地図」の名称の起源)、羊飼い、王などのさまざまな解釈が与えられている。

[小川正広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アトラス」の意味・わかりやすい解説

アトラス
Atlas

アメリカの1段式大型液体燃料ロケット直径 3.1m,全長 26m,全重量 111t,推力 177t。アメリカ空軍が開発した最初のミサイルで,固体燃料式のミニットマンが配備されたのち,アメリカ航空宇宙局が宇宙開発用として使うようになった。燃料としてケロシンを,酸化剤として液体酸素を使用。推力 27tの主エンジンの両側に,推力 75tの強力な補助ブースタ2個がついていて,ブースタ切り離し後にも主エンジンは燃焼を続けるので,1段半式ともいう。多くの場合,アジェナとかセントールなどのロケットを上段につけて用いられ,マーキュリー有人衛星船や無人探査機レンジャー,サーベイヤ,ルナオービター,あるいは無人惑星探査機マリナー,インテルサット4号系通信衛星などの打上げに使われている。 (→ICBM )  

アトラス
Atlas

ギリシア神話の神。ティタンのイアペトスオケアノスの娘クリュメネの結婚から生れた。ティタン神族の一員としてオリュンポスの神々と戦ったため,ゼウスは勝利ののち,並みはずれた巨体と怪力の持主であったアトラスに,罰として世界の西のはてにいて天を肩で支える役目を課した。プレイアデスヒュアデスは,彼とオケアノスの娘プレイオネの結婚から生れた娘たちとされる。

アトラス
Atlas

おうし座 27番星の固有名。プレアデス星団に属する。実視等級 3.62等星,スペクトル型は B8で巨星。連星で 0.6″離れたところに 6.6等の伴星をもつ。

アトラス

地図帳」のページをご覧ください。

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