アトラス(その他表記)Atlās

デジタル大辞泉 「アトラス」の意味・読み・例文・類語

アトラス(Atlās)


(Atlās)ギリシャ神話で、巨人神の一。プロメテウスの兄弟。オリンポスの神々と戦って敗れ、世界の西の端で天空を双肩で支える罰を科せられた。大西洋(the Atlantic Ocean)の名もアトラスに由来する。
(Atlas)土星の第15衛星。1980年に発見。名はに由来。土星に3番目に近く、環のすぐ外側の軌道を公転する。非球形で平均直径は約30キロ。
(atlas)
地図帳。初期の地図書に天空を支えるアトラス像を載せたところからいう。
環椎(第一頸椎)。に由来。頭蓋骨を支えていることから。

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精選版 日本国語大辞典 「アトラス」の意味・読み・例文・類語

アトラス

  1. [ 1 ] ( Atlas ) ギリシア神話の巨人神。タイタン族の一人。オリンポスの神々と争って敗れ、その罰として両手で天を支えることを命じられた。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] atlas ) ( ベルギーの地理学者メルカトルの地図帳(一六五一年刊)の口絵に[ 一 ]の姿がえがかれて以来、その習慣が引き継がれたところから ) 地図帳。また、地図。〔新らしい言葉の字引(1918)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「アトラス」の意味・わかりやすい解説

アトラス
Atlas

ティタン神族の一人イアペトスとクリュメネとの子で巨人神。プロメテウスらの兄弟。オリュンポス神族との戦い(ティタノマキア)に敗れ,罰として世界の西の果てで蒼穹(そうきゆう)を支える役を課せられた。彼の娘たちヘスペリデスの守る黄金のリンゴをヘラクレスがとりにきたとき,アトラスがリンゴをとってやる代りに,一時彼に蒼穹を背負わせた話は有名。アトラスの複数形アトランテスatlantesはカリアティード(女人像柱)の対になる〈男性像柱〉を意味する建築用語で,アクラガスオリュンピエイオンにその最初の使用例が残っている。地理学では,アトラスはアフリカ北西海岸に沿って東西に伸びる巨大な山脈の名称。また〈地図帳〉を意味するアトラスは,16世紀の地図学者メルカトルがこの巨人神を自分の地図帳の装飾に使用したことによる。
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アトラス
atlas

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百科事典マイペディア 「アトラス」の意味・わかりやすい解説

アトラス(神話)【アトラス】

ギリシア神話でティタン神族の一人。怪力の持主。プレイアデスヘスペロスはその子。オリンポス神族との戦い(ティタノマキア)に敗れ,罰として西方(ヘロドトスによればアトラス山脈)で天空をささえる。ヘラクレスにこの仕事を転嫁しようとするが果たさず,のちペルセウスのため石と化す。なお,16世紀にメルカトルが地図書の装飾にアトラスの絵を用いてから〈アトラス〉が地図帳の意となった。また,女性像柱(カリアティード)に対する男性像柱をアトランテスatlantes(アトラスの複数形)と称する。
→関連項目エレクトラ

アトラス[山脈]【アトラス】

アフリカ北西部,地中海沿岸に走る第三紀造山運動による褶曲(しゅうきょく)山脈。モロッコにはアンチ・アトラス山脈,高アトラス山脈,中アトラス山脈があり,ベルベル人が半遊牧生活を営む。アルジェリアから東へはサハラ・アトラス山脈などが走り,チュニジアに至る。最高峰はモロッコ内のトゥブカル山(4165m)。
→関連項目アルジェリアマグリブモロッコ

アトラス(兵器)【アトラス】

米国空軍が1959年開発,実用化した最初のICBM液体酸素ケロシンを用い,大型核弾頭を1万2000km飛ばす能力があったが,旧式化したため軍用としては退役。マーキュリー有人衛星の打上げ(マーキュリー計画),多段式にして月探測機発射ロケットなど宇宙開発用に利用された。→大陸間弾道ミサイル

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アトラス」の意味・わかりやすい解説

アトラス
あとらす
Atlās

ギリシア神話の巨人の神。イアペトスとクリメネの子で、ティタン神族の一人。兄弟にはメノイティオス、プロメテウス、エピメテウスがいる。一説にはウラノスの子で、したがってクロノスの兄弟にあたる。オリンポス神族以前の神々の世代に属すアトラスは、他のティタン神族とともにオリンポスの神々と戦ったため、その罰として、ゼウスによって蒼穹(そうきゅう)(天空)を肩にのせて支える役を課せられた。彼は普通西の果てのヘスペリデスの国に住むといわれていることから、歴史家ヘロドトスは北アフリカの山脈をアトラスとよんだ。ペルセウスは、怪物ゴルゴン退治のあとアトラスにメドゥサの首を見せて、彼を岩塊に変えたといわれる。

 アトラスは、プレイオネからプレイアデスとヒアデス、またヘスペリスからヘスペリデスの娘たちを得た。ディオネも彼の娘と考えられており、さらに息子にはヒアスとヘスペロスがいる。後の伝承では、アトラスは天文学者(「地図」の名称の起源)、羊飼い、王などのさまざまな解釈が与えられている。

[小川正広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アトラス」の意味・わかりやすい解説

アトラス
Atlas

アメリカの1段式大型液体燃料ロケット。直径 3.1m,全長 26m,全重量 111t,推力 177t。アメリカ空軍が開発した最初のミサイルで,固体燃料式のミニットマンが配備されたのち,アメリカ航空宇宙局が宇宙開発用として使うようになった。燃料としてケロシンを,酸化剤として液体酸素を使用。推力 27tの主エンジンの両側に,推力 75tの強力な補助ブースタ2個がついていて,ブースタ切り離し後にも主エンジンは燃焼を続けるので,1段半式ともいう。多くの場合,アジェナとかセントールなどのロケットを上段につけて用いられ,マーキュリー有人衛星船や無人探査機レンジャー,サーベイヤルナオービター,あるいは無人惑星探査機マリナー,インテルサット4号系通信衛星などの打上げに使われている。 (→ICBM )  

アトラス
Atlas

ギリシア神話の神。ティタンのイアペトスとオケアノスの娘クリュメネの結婚から生れた。ティタン神族の一員としてオリュンポスの神々と戦ったため,ゼウスは勝利ののち,並みはずれた巨体と怪力の持主であったアトラスに,罰として世界の西のはてにいて天を肩で支える役目を課した。プレイアデスヒュアデスは,彼とオケアノスの娘プレイオネの結婚から生れた娘たちとされる。

アトラス
Atlas

おうし座 27番星の固有名。プレアデス星団に属する。実視等級 3.62等星,スペクトル型は B8で巨星。連星で 0.6″離れたところに 6.6等の伴星をもつ。

アトラス

地図帳」のページをご覧ください。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「アトラス」の解説

アトラス

正式社名「株式会社アトラス」。英文社名「ATLUS CO., LTD.」。製造業。昭和61年(1986)設立。本社は東京都新宿区神楽坂。オリジナルシール印刷機「プリント倶楽部」(プリクラ)を開発した娯楽機器の大手。家庭用・業務用ゲームのソフトウェアを開発。アミューズメント施設の運営も手がける。JASDAQ旧上場。平成22年(2010)親会社インデックス・ホールディングスによる完全子会社化にともない上場廃止。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアトラスの言及

【地図帳】より

…多数の地図を一定の編集方針のもとに集録して,必要な解説などを付し,書籍の形にまとめたものを地図帳またはアトラスと呼んでいる。アトラスはギリシア神話の巨人神だが,G.メルカトルがその地図帳にアトラスの名を冠して以来,欧米では地図帳をアトラスと呼ぶようになった。…

【アトランティス伝説】より

…それはアジアとリビュアつまりアフリカを合わせたよりも大きく,ポセイドン神の5組の双生児が島を10分して支配していた。最年長の初代の王アトラスにちなんで島は命名され,そのまわりの海も〈アトラスの海〉(つまり大西洋のこと)と呼ばれたという。整然たる都市計画と強力な軍事組織を備え,ヨーロッパやリビュアの一部まで支配下に置いていたが,彼らはさらにヨーロッパとアジアとを一挙に隷属させようとして侵攻した。…

【土星】より

…しかし,ボエジャーはさらに多くの衛星を発見または確認し(いくつかは地上で発見されていた),その総数は21~23となった。ボエジャーの確認した衛星のうち番号がつけられたのはXヤヌス,XIエピメテウス,XIIヘレーネ,XIIIテレスト,XIVカリプソ,XVアトラス,XVIプロメテウス,XVIIパンドラ,XVIIIパンの9個である。テレスト,カリプソはテチスと,ヘレーネはディオーネと同じ軌道上で60゜前と後のいわゆる三体問題の正三角形解に相当する場所(ラグランジュ点)に存在している。…

【髑髏】より

…頭蓋は宇宙の形に似せて球状につくられているというプラトン(《ティマイオス》)の説は,中世末期以後長く信じられた。現代の解剖学でも,頭蓋骨を支える第1頸椎をアトラス(ギリシア神話の天を肩で支える巨人)と呼んでいる。同様にユダヤ神秘主義カバラの書《ゾーハル》は,世界を包む球状の覆いを〈大頭蓋骨〉と称する。…

【ヘラクレス】より

…(11)世界の西の果てにあるヘスペリデスの園から黄金のリンゴを取ってくること。園の近くに蒼穹を肩で支えている巨人神アトラスがいたので,ヘラクレスは彼にかわって蒼穹を背負い,その間にアトラスがリンゴを取ってきた。ヘラクレスがプロメテウスの肝臓をついばんでいた鷲を射殺して彼を解放してやったのは,この旅の途上でのできごと。…

※「アトラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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