メッセニア(読み)めっせにあ(英語表記)Messenía

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メッセニア」の意味・わかりやすい解説

メッセニア
めっせにあ
Messenía

ギリシア南部、ペロポネソス半島南西部の地方名。東はラコニア、北はアルカディアエリス、南と西はイオニア海に接する。パミソス川流域は古来肥沃(ひよく)な要地である。現在は一県をなし、メッセニア湾奥のカラマタ(古称カラマイ)が県都。県は面積2991平方キロメートル、人口17万5400(2003推計)。オレンジ、レモン、アーモンド、イチジク、ブドウ、オリーブを産出

[真下とも子]

歴史

新石器時代の遺跡もあるが、ミケーネ時代にはピロス王国が栄えた。王宮跡から出土した粘土板の線文字Bの解読は、ミケーネ時代ギリシアの社会構造解明に大きく寄与した。紀元前1000年ごろにはドーリス人がこの地に侵入・定住したという。前8世紀後半にステニクラーロス平野に住む人々は同じドーリス系のスパルタによって征服され、ヘイロタイ隷属農民)とされた(第一次メッセニア戦争)。前7世紀中ごろに、メッセニア人はアルカディアやアルゴスの支援で、独立を回復あるいは維持するために戦ったが敗れた。前464年には大地震を契機蜂起(ほうき)したが、これも失敗した。ようやく前369年、ボイオティアの都市テーベテバイ)によって独立を回復した。

[古山正人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メッセニア」の意味・わかりやすい解説

メッセニア
Messēnia

ペロポネソス半島の南西地域の古代ギリシア名。現メッシニア。北はネダ川の下流に沿ってエリス,アルカディア,東方はタイゲトス山脈とメッセニア湾によってラコニアと接している。西部メッセニアはアイガレオス山のけわしい山地で,海岸に少数の集落があるにすぎないが,中央部と東部はパミソス川の流域で人口稠密,その下流域平原マカリアは肥沃な土地として知られた。ホメロスの伝承によると南西メッセニアはミケーネ時代にテッサリアから移住したネレイデス家に支配されたが,前 1200年頃ドーリス人が侵入し,先住民と混血した。前 735年頃スパルタ人が侵入,中央平原を占拠,前7世紀には残部をもスパルタに支配された。住民は土地に緊縛されたヘロット的身分に転落,前 490,前 465/4年の反乱も失敗したが,その一部はペロポネソスを退去した。前 371年レウクトラの戦いのあと,テーベの指導者エパメイノンダスは追放者の子孫を帰還させ,イトメ山を中心に堅固な要塞メッセネを築いた。彼らはアカイア連盟に加入してスパルタの攻撃より防衛。前 146年ローマの支配下でアカイア州の一部を構成した。

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