日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤドリキバチ」の意味・わかりやすい解説
ヤドリキバチ
やどりきばち / 寄生樹蜂
昆虫綱膜翅(まくし)目広腰亜目ヤドリキバチ科Orussidaeの総称。体長10~20ミリの中形のハチで、触角が頭部下方から出ていることと前翅肘(ちゅう)室が二つであることなどが特徴。生活史はほとんどわかっていないが、広腰亜目のうちで唯一の寄生者で、カミキリムシやタマムシのように材に穿孔(せんこう)する甲虫の幼虫に外部寄生をする。したがって、成虫は、通常、材上をすばやく行動している。世界に約70種が知られ、ほとんどの地域に分布。日本には2属5種が知られているが、そのうちの1種は西表(いりおもて)島だけに、もう1種は小笠原(おがさわら)諸島の母島から知られている。
[奥谷禎一]