改訂新版 世界大百科事典 「ヨートゥンハイム山地」の意味・わかりやすい解説
ヨートゥンハイム山地 (ヨートゥンハイムさんち)
Jotunheimen
南ノルウェー中央高山帯で北緯61°~62°,東経7°~9°付近にあり,西からソグネフィヨルドSognefjorden,ノールフィヨルドNordfjordenの水系が深いU字谷を刻み,東にはグブランスダールの上流河川が延びる。ヨステダール氷河はこの山塊の西にある。この山地は約4億年前のカレドニア造山衝上変成岩よりなる。氷期の谷氷河に削られ著しい氷食地形を示し,いくつかの小氷河が現存するが,これらは後氷期に一度消失してその後再びできたものである。氷は1700年代中ごろから後退し続けている。北欧神話では巨人族の住む山である。この山地は面積約3500km2で,ノルウェーの標高2300m以上の高峰をすべて含み,最高峰はガルヘピッゲンGaldhøpiggen(2469m)である。有名な観光地で,約35の山小屋があり,国道が山塊の北,東,南を通り,西はフィヨルドを伝うフェリーの便がある。昔は野生トナカイの猟場であったが,今は放牧が行われている。河川にはマスが多い。山地の一部分が国立公園に指定。
執筆者:太田 昌秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報