山地にある宿泊・休憩施設の総称。本来は山で働く者が臨時の住居とする小屋のことで、秋田・青森地方では「ケト」または「モリヤ」、奈良地方では「イホ」などともよばれている。種類としては、またぎが使う狩り小屋、農業者の焼畑つくりの際の作小屋、出作り小屋あるいは林業の炭焼き小屋・木こり小屋、さらには山地の神社・仏閣に参拝するための小屋、山岳信仰登山のための宿泊所としての室堂などの小屋があり、山を神聖な所としまた安全を祈願するため山の神を祭り、女性を近づけないとか、謡曲・口笛を禁ずるなどの風習のあった所もある。
現在では、炭焼き・畑作などのためのものがすこしあるだけで、山小屋の名称はもっぱら登山、ハイキングなどで利用する施設をよぶことが多い。山小屋は多くの人が共同で利用する施設であり、無人小屋の場合もある。緊急時の避難のために使用するときもあるので、旅館のように定員が守られない場合もある。また、自炊のものもある。管理人は山に精通している場合が多いので、天気、ルートなどのよいアドバイザーである。利用するときは、施設を汚したり破損したりしないことはもちろん、とくに無人になっているものは火気に注意する。
[徳久球雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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