フィヨルド(読み)ふぃよるど(英語表記)fiord

翻訳|fiord

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィヨルド」の意味・わかりやすい解説

フィヨルド
ふぃよるど
fiord

下流部が沈水して海に覆われた氷食谷をさす。峡湾ともいう。幅に比べて長さが長く、スカンジナビア半島にあるソグネフィヨルドの長さは204キロメートルに及ぶ。両岸は切り立ったU字谷の谷壁からなり、海面から1000メートル以上の崖(がけ)をなすことが多い。しかし、海面の下にはさらに1000メートル以上の凹(くぼ)みがつくられていることが少なくない。高緯度地域で氷河侵食が活発に行われた山地にみられ、ノルウェーグリーンランドアラスカ南部、チリ、ニュージーランド南島などに典型的に発達している。氷期には海面が現在より約100メートル低下していたが、フィヨルドの深さから知られるように、海面が下がってもフィヨルドはまだ海であった。このように深い谷が削られたのは、フィヨルドを埋めた谷氷河の厚さが大きかったからで、2000~3000メートルにも達する厚い谷氷河が、海水を押しのけて前進したために海面下深くまで氷食谷ができたと考えられる。

[小野有五]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィヨルド」の意味・わかりやすい解説

フィヨルド
fjord

峡湾ともいう。氷食谷に海水が侵入して生じた入込みの深い湾。氷食谷は横断面がU字形をなしているので,両壁は急崖をなし,海に注ぐ河川懸谷をつくる。ノルウェー,グリーンランド,アラスカ,南アメリカ南端の海岸にその例が多い。

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