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谷氷河 たにひょうがvalley glacier

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

谷氷河
たにひょうが
valley glacier

山岳氷河の代表で,中緯度高山地域に最も典型的にみられる。頭部の圏谷氷河に続き,山腹,山間を刻んで流下する。水流に比較して流速はきわめて小さいが,浸食力,特に下刻力が強く,U字 (放物線状の説もある) 谷を形成する。底部,内部,表面には削った岩片や落下岩屑など,いわゆるモレーン (氷堆石) 物質が含まれ,次第に運搬されてその末端に末端堆積丘を形成する。また,傾斜や谷幅の急変部にはクレバスが生じていることが多い。多くの谷氷河の氷の厚さは 300~900mに達している。特に大きい谷氷河の例として南極のベアドモア氷河がある。この氷河は長さ 190km,幅 40kmに達する。

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百科事典マイペディアの解説

谷氷河【たにひょうが】

山間の谷間をうずめて流下する氷河(山岳氷河)。アルプス,カフカスなどでは長さ数km程度の小規模なもの(アルプス型)が多いが,カラコラム,ヒマラヤなどでは数十km程度の大規模な樹枝状のもの(樹枝型)もみられる。流下速度は1年間に数十〜数百m。氷食によりU字形断面の氷食谷をつくる。地形に拘束されながら運動するためクレバス,氷瀑,氷塊セラックなど複雑な形状を示すことが多い。
→関連項目氷河

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大辞林 第三版の解説

たにひょうが【谷氷河】

谷間を流れ下る氷河。アルプス・ヒマラヤ・アラスカなどの山地に発達する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

谷氷河
たにひょうが

谷の中を流下する氷河。谷の源流部にあるカール(圏谷)を埋めたカール氷河が、さらに発達してできることが多い。谷氷河の末端部は舌状に伸びるので氷舌(ひょうぜつ)とよばれる。氷舌の縁(氷舌端)には、氷河が上流から運んできた岩屑(がんせつ)が積み上げられて、エンド・モレーンend moraineやラテラル・モレーンlateral moraineとよばれる堆石(たいせき)をつくる。いくつかのカールから流下した氷河が、下流で合流してできた谷氷河はアルプス型氷河とよばれるが、アルプスの谷氷河は、最大のアレッチ氷河でも長さ25キロメートル以下である。これに対して、カラコルムやパミール高原には長大な谷氷河が多く、世界最大のフェドチェンコ氷河は長さ77キロメートルにも達する。氷期にはさらに長大な谷氷河が発達していたことが、谷氷河のつくったU字谷や堆石の地形から知られている。大陸氷河や、緩やかな山地をすっぽりと覆った氷帽氷河などの一部が、周囲の谷に流れ込んでできた谷氷河は溢流氷河(いつりゅうひょうが)とよばれる。[小野有五]

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世界大百科事典内の谷氷河の言及

【氷河】より

…一つは平坦で広大な大陸に形成されているもので大陸氷河continental glacierあるいは氷床ice sheetと呼ばれる。もう一つは起伏の大きい高山地帯に形成されているもので山岳氷河mountain glacierあるいは谷氷河valley glacierと呼ばれる。氷床は平坦であるために流動は活発でないが,2000~3000mもの厚さをもつことによって初めて傾斜を生じ,ゆるやかな流動が起こる。…

※「谷氷河」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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