改訂新版 世界大百科事典 「ライネケ塩」の意味・わかりやすい解説
ライネケ塩 (ライネケえん)
Reinecke's salt
化学式(NH4)[Cr(NCS)4(NH3)2]・2/3H2O。テトラキス(イソチオシアナト)ジアンミンクロム(Ⅲ)酸アンモニウムの通称。アルカロイド,コリンなどの沈殿試薬として用いられる。ドイツの化学者A.ライネケによってつくられた。チオシアン酸アンモニウムNH4SCNと二クロム酸アンモニウム(NH4)2Cr2O7とを粉砕してよく混合し,145~150℃で反応させるとモーランド塩(グアニジニウム塩)(CH6N3)[Cr(NCS)4(NH3)2]との混合物として得られる。温水で抽出,分離して結晶させる。赤色立方晶系の結晶。100℃に熱すると無水和物となる。光にやや不安定。水,エチルアルコール,アセトンによく溶ける。ベンゼンに不溶。水溶液は煮沸すると分解する。
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報