化学辞典 第2版 「二クロム酸アンモニウム」の解説
二クロム酸アンモニウム
ニクロムサンアンモニウム
ammonium dichromate
(NH4)2Cr2O7(252.1).重クロム酸アンモニウムは慣用名で,現行命名法では正しくない.IUPAC体系名はヘプタオキシド二クロム酸アンモニウム.CrO3を水に溶かし,これに計算量のNH3を加え,濃縮,冷却すると得られる.単斜晶系の橙赤色のイオン結晶.2個の四面体型のCrO4が,1個のO原子を共有して結合したCr2O72-をもつ.Cr-O1.63 Å(末端),1.78 Å(架橋).∠Cr-O-Cr121°.密度2.155 g cm-3.185 ℃ で分解する.
(NH4)2Cr2O7 → Cr2O3 + N2 + 4H2O
水に易溶だが,潮解性はない.水溶液は酸性(1% 水溶液で,pH 約3.95)を示す.酸化性で,固体塩と有機物との混合物は加熱または衝撃で爆発することがある.酸化剤,触媒,写真製版,染色,花火製造などに使用する.熱分解により酸化クロムCr2O3を製造する.高純度塩は純粋な N2 や金属Crの製造原料となる.六価クロム化合物であるから化学物質排出把握管理促進法・特定1種指定.毒劇法では重クロム酸塩として劇物指定.労働安全衛生法・名称等を通知すべき危険物及び有害物.[CAS 7789-09-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報