ラ・シャペル・オ・サン人(読み)らしゃぺるおさんじん(その他表記)La Chapelle-aux-Saints man

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ラ・シャペル・オ・サン人
らしゃぺるおさんじん
La Chapelle-aux-Saints man

ヨーロッパ旧人の代表的化石人類。フランス中部のコレーズ県、ラ・シャペル・オ・サン村の小洞穴より、ほぼ完全な形で出土。埋葬人骨で、ムスティエ文化遺物を伴う。脳容量は1620ミリリットルもあり、頭骨全体は大きく低頭で、後頭部は突出する。眼窩(がんか)上隆起は発達し、突顎(とつがく)で口蓋(こうがい)は大きい。下顎骨も頑丈で頤(おとがい)隆起はみられない。乳様突起は小さい。これらはヨーロッパのネアンデルタール人の典型的特徴であるが、この人骨の歯はほとんど脱落し、顎骨の歯槽(しそう)部の吸収が著しく、老人様である。かつてフランスの人類学者ブールは四肢骨の形態から腰や膝(ひざ)が曲がっていたと推定したが、アランブールCamille Arambourg(1885―1969)はこれは骨変型症によるものとし、現代人と同じ姿勢をとるものと考えた。

[香原志勢]

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