日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラシー」の意味・わかりやすい解説
ラシー
らしー
Rashi
(1040―1105)
北フランス出身のユダヤ人聖書注解者。ラシーの名は、ラビ・ソロモン・イツハークRabi Shelomo Yitschaqの頭文字をとった略称である。彼の注解は、かつてのラビたちの聖書解釈(ミドラシュ)を紹介しながら、文法的説明、他の注解者の批判、難解な語の古フランス語への翻訳、キリスト教論駁(ろんばく)などを通して、聖書の平易な意味を明らかにした。このために彼の注解は、ユダヤ教の聖書研究にとって不可欠のものとなったばかりでなく、中世のキリスト教徒の聖書研究にも影響を与えた。
[定形日佐雄 2018年4月18日]
『アラン・ウンターマン著、石川耕一郎・市川裕訳『ユダヤ人』(1983・筑摩書房)』