日本大百科全書(ニッポニカ) 「筑摩書房」の意味・わかりやすい解説
筑摩書房(株)
ちくましょぼう
1940年(昭和15)古田晁(あきら)の手で設立された出版社。処女出版は『中野重治(しげはる)随筆抄』ほか2点であった。松本中・高校(旧制)を通しての古田の友人臼井吉見(うすいよしみ)が唐木順三(からきじゅんぞう)、中村光夫(みつお)とともに相談役として企画万般にわたり支援し続けた。46年(昭和21)1月創刊された総合雑誌『展望』は、文化、思想を重点とする編集や臼井執筆の「展望」欄が評判となり、好調な滑り出しをみせたが51年10月号で休刊。53年に発表した『現代日本文学全集』(全99巻)が成功して、いわゆる全集ブームの先鞭(せんべん)をつけ、その後も数多くの優れた単行本、全集類を刊行し、『展望』も一時復刊(1964)した。しかし経営状態が悪化し、78年会社更生法の適用を申請、80年10月から更生会社として新発足した。
[海老原光義]