日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラバウルカルデラ」の意味・わかりやすい解説
ラバウルカルデラ
らばうるかるでら
Rabaul Caldera
パプア・ニューギニア、ニュー・ブリテン島北東部にあるカルデラ火山。標高688メートル。傾斜の緩い斜面をもつ、おもに火砕流堆積(たいせき)物からなる火山で、中央に長さ14キロメートル幅8キロメートルのカルデラが位置する。カルデラ外側、北と北東に三つの小さな成層火山があり、カルデラの内側には東西両端にブルカンとダブルブルの両火口丘が存在する。カルデラの東は海に開いているためカルデラ内は良港となり、北岸にあるラバウル市はニュー・ブリテン島最大の市街地となっていた。18世紀以降10回以上噴火。最近の噴火は、カルデラ内にあるブルカンとタブルブルの両火山で同時におこるのが特徴。1937年の大噴火では火砕流、津波、降灰によって500人以上が犠牲になった。84年からカルデラ内部で地殻変動や地震活動が活発化し、94年に51年ぶりに噴火が始まった。この時、噴煙は18キロメートル上空まで上昇し、火砕流が海に流入して高さ5メートルの津波が発生した。この噴火の降灰と泥流でラバウル市が壊滅したが、全市民が噴火の開始前日までに避難していた。94年以降は噴火が断続的に続いている。
[中田節也]