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火砕流 かさいりゅうpyroclastic flow

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

火砕流
かさいりゅう
pyroclastic flow

噴火によって火口から噴出した高温火山噴出物が,高速で火山体斜面を流下する現象。規模や状況によって,熱雲軽石流浮石流),スコリア流,火山灰流などとも呼ばれる。100~700℃に達した高温の岩石の破片が火山ガス水蒸気,空気と混合する際に内部上昇流が発生するため粘性は低下し,重力の作用によって,ゆるやかな斜面でも時速数十~200kmで流れる。数百km以上の範囲に広がる場合もある。火山災害のなかでも最も大きな被害を出す要因の一つであり,1902年に西インド諸島マルティニーク島のプレー山で発生した火砕流では約 3万人が犠牲になった。日本でも 天明3(1783)年の天明浅間山噴火では火砕流により約 1200人が,1991年6月の普賢岳(→雲仙岳)の噴火による火砕流では 43人が死亡した。大規模な火砕流は,火砕流堆積物が数十mの厚さとなる火砕流台地と呼ばれる地形(→火山地形)を形成することがある。また火口周辺が陥没し,カルデラを形成する。

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知恵蔵の解説

火砕流

爆発的な噴火で出たテフラ(火山砕屑〈さいせつ〉物)が、噴霧状に空気と混合し、重力により山腹を流れ下るのが火砕流。粒子をあまり含まない爆風がサージ。火砕流は、熱雲とも呼ばれ、流下速度は時速100kmを超え、到達距離も数十kmに達する例がある。テフラをほとんど含まない熱風(火砕サージ)の部分が先端にあり、地形にあまり拘束されずに移動する。火砕流には、火口から垂直に上がった噴煙の一部が降下するスフリエール型、溶岩ドームの爆発に伴うプレー型、溶岩の崩落過程で生ずるメラピ型がある。大きめのテフラを落とした後、火砕流は軽くなり噴煙として上昇する。水蒸気爆発やマグマ水蒸気爆発に伴う爆風(ベースサージ)は海底噴火の際に海面でよく発生する。

(井田喜明 東京大学名誉教授 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

火砕流

火口から出た高温の火山灰や岩などが空気や水蒸気と混じりあい、高速で斜面を流れ下る現象。温度は数百度に達することもあり、大規模な場合は通過した場所を焼き尽くすなど、破壊力が大きい。長崎県雲仙・普賢岳では1991年6月に大規模な火砕流が発生、43人が犠牲になった。

(2015-05-29 朝日新聞 夕刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

かさい‐りゅう〔クワサイリウ〕【火砕流】

火山灰軽石スコリア(岩滓(がんさい))などが火山ガスと混合し、一団となって火口から一気に流れ下る現象。マグマの粘性が大きい場合に生じ、しばしば大きな被害をもたらす。
[補説]「火砕流」は「火山砕屑流」(→火山砕屑物)を略した語。火砕流の概念は1950年代後半に日本の火山学者荒牧重雄らによって定義が整理された。

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百科事典マイペディアの解説

火砕流【かさいりゅう】

火山砕屑(さいせつ)物流とも。マグマの粘性が大きい場合に起こる火山噴火の型の一つ。火山灰,軽石,火山岩塊などが火山ガスと混合した一団の濃厚なかたまりとなって火口から山腹をなだれおりるもの。
→関連項目火山灰軽石溶結凝灰岩

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世界大百科事典 第2版の解説

かさいりゅう【火砕流 pyroclastic flow】

火山の噴火の際に,大量の軽石や火山灰が,一団となって山腹を高速度で流下する現象。かつては火山砕屑流とも呼ばれた。ふつうは,高温の固形物質(火山砕屑物)とガス(空気または水蒸気)の混相流(粉体流)を指し,重力によって駆動される。構成物質の大部分が軽石の場合は軽石流,火山灰の場合は火山灰流,スコリアの場合はスコリア流と呼ばれる。小規模の火砕流は熱雲とも呼ばれる。火砕流の規模は大小広い範囲にわたるが,その規模により三つに分類する。

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大辞林 第三版の解説

かさいりゅう【火砕流】

噴出した高温の火山灰や軽石などが一団となって、普通、時速百キロ以上の高速で流走する現象。1991年(平成3)雲仙普賢岳で発生した火砕流では四〇名の死者を出している。火山砕屑さいせつ流。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

火砕流
かさいりゅう

火山灰、火山ガス、溶岩片などが一団となり、高速で山の斜面を流れ下る現象のこと。一般に高温で、最高時速150キロメートルを越えることがある。火砕流は、安山岩、デイサイト、流紋岩など粘り気の高いマグマの噴火によってできた火山で発生することが多いが、玄武岩の火山においても発生することがある。1902年の西インド諸島のフランス領マルティニーク島プレー火山で発生した火砕流は、サン・ピエール市街地を襲い、約2万8000人の市民が一瞬にして火砕流の犠牲となった。火砕流は、爆発的噴火の際に火口から四方八方に流れ下ることや、火口付近の溶岩円頂丘(溶岩ドーム)や溶岩流が崩れて発生することがある。後者は比較的規模が小さく熱雲ともよばれており、サン・ピエールを襲ったものは、これである。カルデラをつくるような規模の大きな噴火に伴う火砕流は、軽石流や火山灰流ともよばれている。阿蘇(あそ)山では約32万年前から9万年前にかけて4回の大きな火砕流噴火がおこり、その結果、山頂部が陥没して、現在のカルデラができた。
 火砕流は谷など地形的に低いところを流れるが、火山灰と火山ガスからなる希薄な部分(火砕サージ)は火砕流の本体から分離し斜面をはいあがったり横方向に広がる性質がある。プレー火山の1902年の噴火や長崎県雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)の91年(平成3)の噴火のように、火砕流による犠牲者は火砕流の本体より火砕サージに巻き込まれた場合が多い。
 雲仙普賢岳では1990年から95年にかけて、成長を続ける溶岩ドームが繰り返して崩壊したために、合計で9000を超える回数の火砕流が発生した。1991年6月3日に発生した火砕流では43名の報道関係者や防災関係者が犠牲になった。三宅(みやけ)島で2000年8月末におきた水蒸気爆発では、低温で勢いのない火砕サージが発生し住宅街を飲み込んだが、幸い犠牲者はでなかった。[中田節也]
『砂防学会編『火砕流・土石流の実態と対策』(1993・鹿島出版会) ▽千木良雅弘著『群発する崩壊――花崗岩と火砕流』(2002・近未来社)』

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