泥流(読み)デイリュウ

デジタル大辞泉 「泥流」の意味・読み・例文・類語

でい‐りゅう〔‐リウ〕【泥流】

火山噴火山崩れの際、山腹を流れ下る大量の泥土の流れ。

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精選版 日本国語大辞典 「泥流」の意味・読み・例文・類語

でい‐りゅう‥リウ【泥流】

  1. 〘 名詞 〙 火山爆発や山崩れの際などに流れ下る、多量の泥土や泥まじりの奔流。
    1. [初出の実例]「噴出飛散する所の灰は降雨の作用に依て泥流(デイリウ)となりて山上より走流するものなり」(出典:風俗画報‐二五四号(1902)大島)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「泥流」の意味・わかりやすい解説

泥流
でいりゅう

水分を多量に含んだ泥質の細粒物質斜面を流下する現象地表の削剥(さくはく)作用、運動、堆積(たいせき)まで含めたマスムーブメントmass movement一種である。運搬される岩屑(がんせつ)の大半が砂、礫(れき)などの粗粒物質からなる場合は、土砂流あるいは土石流とよんでいる。

 細粒物質からなる植生の少ない不安定斜面、あるいは火山灰などで液性限界の低い物質からなる斜面に豪雨がもたらされて発生する場合や、山崩れ、地すべりを引き金として発生する場合がある。泥流のうちとくに火山活動に起因するものを分けて火山泥流と称している。この場合はその物質の分布の広がりや堆積(たいせき)物の層の厚さの大きいことから、しばしば大きな災害をもたらすことが多い。火山泥流は、噴火によってもたらされた火山砕屑物降水の浸透により流動化する場合のほかに、火山活動によるカルデラ湖の決壊、雪氷の融解が引き金となることもある。火山泥流の例としては、日本では北海道の有珠(うす)山(1978)、長野県の浅間山(1783)が、また外国ではジャワ島の火山地域での例が著名である。火山泥流に相当するラハールlaharはジャワ島のこの地方の呼称が元になっている。

 泥流の速度は運搬される砕屑物の性質や含水量、それに泥流の発生する地形条件によって異なるが、一般にきわめて速く毎秒10~40メートルに達する。細粒物質を主体とするとはいえ、密度が高いため、径数メートル以上、ときに数十メートルに達する巨大な岩塊が運搬されることがある。

[新藤静夫]

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百科事典マイペディア 「泥流」の意味・わかりやすい解説

泥流【でいりゅう】

堆積物重力流の一種で,泥質分が多く礫(れき)質分の少ない流れをいう。土石流との使い分けは明確ではない。火山泥流ともいい,火山体の岩石の一部が噴火時,あるいは後にくずれて斜面に沿い流下するものをいう。雪解け水,地下水,爆発に伴う降雨が土砂と混じて流動性を生じる。熱雲の場合より温度が低い。1888年の磐梯山,1926年の北海道十勝岳の噴火の際に見られた。
→関連項目ネバド・デル・ルイス火山

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岩石学辞典 「泥流」の解説

泥流

火山噴火による火山砕屑物に水分を含んだ物質が一団となって火山の側斜面を流れる現象または凝固した岩石[Iddings : 1909].火山現象とは関係なく,大雨によって堆積物が水を含んだ物質として一団の塊で流れる現象または堆積物を泥流という[Twenhofel : 1939].特に乾燥した環境の場合に起こる.厳密にはこの語は泥質が優勢な堆積物に対して用い,砂やより粗粒なものとは区別するべきである[Blatt, et al. : 1972].火山に関係ある場合を火山性泥流として区別することがある.

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普及版 字通 「泥流」の読み・字形・画数・意味

【泥流】でいりゆう

泥状の流れ。

字通「泥」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の泥流の言及

【土石流】より

…土石流中の水は川の水のように土石を流送する媒体として働いているわけではなく,土砂を含んで密度を増して岩塊を浮きやすくし,堆積物のすき間を埋め,重力によって流下する岩屑のいわば潤滑剤としての役割を果たしている。土石流は岩屑流とほぼ同義であるが,広義には岩屑が急斜面をなだれ落ちる岩屑なだれや,土砂を主体とした泥流を含めて,水を含んだ高速度の土石の流動現象全体をさすこともある。山崩れや岩屑なだれが途中から土石流に移行したり,土石流が泥流に変わることもある。…

【マス・ムーブメント】より


[急速な流動]
 火山灰や砂,粘土など細粒の堆積物やそれらを多く含んだ岩屑層に,降雨,融雪,地下水の湧出,火山活動などで急に多量の水が加わると,速度の大きな斜面物質の流動が起こる。物質の性質と含水量の多少によって土砂流earth flow,泥流mud flow,土石流,岩屑なだれdebris avalancheに分けられる。いずれもその発生は一時的かつ偏在的である。…

※「泥流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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