改訂新版 世界大百科事典 「ラバトサレ」の意味・わかりやすい解説
ラバト・サレ
Rabat-Salé
モロッコ王国の首都。大西洋に面しカサブランカの北東90km,ブー・レグレグ河口の段丘上にあり,川を挟んで西がラバトal-Ribāṭ,東がサレSalāの町。人口162万(2004)。サレは古代ローマ時代の植民都市で古い市街メディナがある。じゅうたん製造のほか食品,繊維,化学などの工業が立地する。ラバトは10~11世紀サレの対岸に設営されたイスラム教徒の小要塞=修行所(リバート,ラバト)に起源をもつ。12世紀末ムワッヒド朝のヤークーブは首都として建設を始めるが,実現には至らず,17世紀アラウィー朝のもとでは都市として栄えた。その後海賊の根拠地ともなったが,1912年リヨテ統監がフランス保護領の首都にし,都市計画による近代的市街をつくった。北にある旧市街は城壁に囲まれ,中世アラブの雰囲気を残している。新市街には並木道や広場,公園,王宮,官庁,外国公館,大学などがあり,静かで落ち着いた町である。ウダーヤのカスバ,ハサン塔,大モスクなどの観光地がある。鉄道・道路交通の要衝で国際空港もある。
執筆者:藤井 宏志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報