ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラバト」の意味・わかりやすい解説
ラバト
Rabat
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北アフリカ、モロッコの首都。同国北西部、大西洋岸のブー・レグレグ川河口左岸に位置する。都市圏の人口138万5872(1994)、市域の人口57万8644(2014推計)。12世紀ベルベル人のイスラム国家ムワッヒド朝により建設された。ラバトとは兵営を意味し、当初は軍事拠点であった。その後一時衰退したが、1660年アラウィ朝の王都として再興された。モロッコの南北を扼(やく)する要地であることから、1912年フランス保護領の政庁が置かれ、統監のリヨテ将軍により旧都の南にヨーロッパ風市街がつくられた。王宮があり、政府の省庁、外国公館が集中し、国の政治、外交の中心都市で、独立後人口が急増した。新市街には、ビルや南欧風住宅が並び、公園や並木道も整備され、美しい都市景観をみせている。ムハンマド5世通りに沿って官庁、議会、オフィス、銀行などがあり、中心地域となっている。その南西には王宮、大学がある。市北部の海に臨む段丘上には、城壁に囲まれたアラブ風の旧市街メディナがあり、ハッサン・モスクの大尖塔(せんとう)、ウダイヤのカスバ、博物館、ムハンマド5世廟(びょう)など名所が多い。川を挟み対岸には古都サレがあり、ラバトと一体化している。工業では繊維工業のほか伝統工芸も盛んである。国際空港が近く鉄道、道路の結節点で、物資の集散地でもある。
[藤井宏志]
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