ラフード(その他表記)Lahoud, Émile

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラフード」の意味・わかりやすい解説

ラフード
Lahoud, Émile

[生]1936.1.12. バーブダット
レバノンの軍司令官。大統領(在任 1998~2007)。フルネーム Émile Jamil Lahoud。レバノン軍創設の立役者ともいわれる独立支持派の軍将官・政治家ジャミル・ラフードの息子。キリスト教マロン派の家庭に生まれ,1956年海軍士官候補生としてレバノンの士官学校に入学し,3年後に少尉として卒業。レバノン海軍に入隊後順調に昇進した。レバノン軍の最高司令官を務めた 1989~98年の間に,シリアの援助を利用して軍を再建し,レバノン内戦後の国の安定を回復した。1998年,国会はシリアと前任のエリアス・ハラウィ大統領から少なからぬ圧力を受け,軍将校の退役後 2年以内の大統領就任を禁じていた憲法を改正したうえで,ラフードを大統領に選出した。2004年,国会は再び憲法を改正し,ラフードの 6年の任期を 3年延長した。大統領時代のラフードは国民の支持を得られず,シリア軍のレバノン駐留に反対する勢力の抑え込みに精力を注いだ。また,2000年にはイスラエル軍のレバノン南部からの撤退を差配した。2007年に任期は満了したが,国会は後任について合意できず,フアド・シニオラが大統領代行に就任した。

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