マロン派(読み)マロンは(英語表記)Maronites

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マロン派」の意味・わかりやすい解説

マロン派
マロンは
Maronites

アンチオキア式東方典礼に服するカトリック教会一団レバノンシリア=アラブ共和国に多い (約 40万) 。名称はその祖とされるシリアの隠遁者マロン (?~423頃) に由来する。アンチオキア総大司教ヨハネス・マロ (685~707) の指導のもとにビザンチン軍の侵入を退け独立を保持。7~8世紀頃は強大な勢力をもち,イスラムの侵入に抵抗し,ウマイヤ朝カリフもみつぎ物をしたといわれる。長い間コンスタンチノープルのセルギウス教義に従い,異端とされたキリスト単意説を奉じていたが,十字軍時代からローマ・カトリック教会に帰属し,18世紀に東方典礼カトリック教会となった。オスマン帝国の支配下ではフランスに保護されたが,ドゥルーズなど他派との反目迫害が絶えず,1860年には多数の信者が虐殺され,多くの亡命者を出した。レバノンの独立に大きく貢献し,共和国成立後は確固たる勢力をもち,不文律ながら大統領は常に同派から選出されている。典礼は西シリア語等で行われ,独特の様式をもつ。

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