リシュレ(その他表記)César-Pierre Richelet

改訂新版 世界大百科事典 「リシュレ」の意味・わかりやすい解説

リシュレ
César-Pierre Richelet
生没年:1631-98

フランスの辞書編纂家。弁護士の家系に生まれ,みずからもその資格を取得したが,むしろ古典語やイタリア語,スペイン語に興味をもち,好んで貴人の子弟の教師などを務めた。パタン,ドービニャック師らパリの文人と交わり,かたわら国語研究に没頭した。脚韻辞典,詩法,初等文法書の著述があるが,業績の中心をなすのは,1680年ジュネーブ発行の《フランス語辞典Dictionnaire française》である。リシュレはこの辞書で多角的な語・表現の収集に努めたが,俗語表現の思いきった採用や,フュルティエールら論敵を中傷する筆致が部分的にはみられるものの,全体としてみれば,マレルブ,パスカルら同時代作家の文例を仰ぎつつ語の定義を明確に行うという規範的辞書の方針が貫かれている。ほぼ同じ時期,同じ規模の《フュルティエールの辞典》(1690),《アカデミー辞典》(1694)とともに,本格的フランス国語辞典のさきがけをなすものである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のリシュレの言及

【辞書】より

…一方,現代ドイツ語の生きた慣用を重視する辞書として,東ドイツ科学アカデミー付属言語学研究所編《現代ドイツ語辞典》6巻(1964‐78),西ドイツから《ドゥーデン・ドイツ語大辞典》6巻(1976‐81)が刊行されており,また《ブロックハウス=ワーリヒ・ドイツ語辞典》6巻が1980年以来刊行中である。 フランスにおける最初の国語辞典は,難航したアカデミー・フランセーズ刊行の辞書に先駆けて出版されたリシュレCésar Pierre Richelet(1631‐98)編《フランス語辞典》(1680)であった。アカデミー・フランセーズ版はようやく1694年に日の目を見たものの不備の点が少なくなく,とくに当代の語法を正しく反映せず,独断に流れる弊が指摘されていた。…

【辞書】より

…一方,現代ドイツ語の生きた慣用を重視する辞書として,東ドイツ科学アカデミー付属言語学研究所編《現代ドイツ語辞典》6巻(1964‐78),西ドイツから《ドゥーデン・ドイツ語大辞典》6巻(1976‐81)が刊行されており,また《ブロックハウス=ワーリヒ・ドイツ語辞典》6巻が1980年以来刊行中である。 フランスにおける最初の国語辞典は,難航したアカデミー・フランセーズ刊行の辞書に先駆けて出版されたリシュレCésar Pierre Richelet(1631‐98)編《フランス語辞典》(1680)であった。アカデミー・フランセーズ版はようやく1694年に日の目を見たものの不備の点が少なくなく,とくに当代の語法を正しく反映せず,独断に流れる弊が指摘されていた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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