改訂新版 世界大百科事典 の解説
リバプール・マンチェスター鉄道 (リバプールマンチェスターてつどう)
世界で最初に蒸気機関車が一般の乗客を運んだ鉄道。1830年9月15日,イギリス中部の工業都市マンチェスターと港町リバプールの間に開通した。この鉄道より5年早く開通したストックトン・ダーリントン鉄道は世界最初に蒸気機関車を使った公共鉄道として名高いが,蒸気機関車は貨車を牽引するだけで,客車は馬が引っぱった。蒸気機関車を使い,旅客と貨物の両方を運ぶ本格的な鉄道はこの鉄道が最初である。G.スティーブンソンが製作したロケット号のひく処女列車は約50kmの区間を4時間半かかって走った。最高時速は30kmぐらいだったらしい。この鉄道の開通式には多くの名士が招待されたが,リバプールの代議士W.ハスキッソンは開通記念列車に試乗し,途中の駅で下車したところ,反対方向から来た列車にひかれて死亡し,最初の鉄道事故となった。
執筆者:山之内 秀一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報