改訂新版 世界大百科事典 「リュームコルフ」の意味・わかりやすい解説
リュームコルフ
Heinrich Daniel Ruhmkorff
生没年:1803-77
ドイツのハノーファーに生まれ,パリで活躍した電気機械器具製造家。誘導コイルをつくったことで有名である。ろくろ細工を修業し,しだいに精密加工を専門とするようになった。1839年にパリで工場を開業し,A.M.アンペールらの求めに応じて実験用機械器具を製造した。誘導コイルは1830年代末にアメリカのページC.G.Pageによってつくられたが,ヨーロッパでは51年のリュームコルフのものが有名であった。誘導コイルは低電圧直流から高電圧交流を発生して火花を飛ばす装置であって,当時においては摩擦電気(静電気)とボルタ電気(動電気)との間を橋渡しするものであった。誘導コイルはのちに交流用に変圧器として変化・発展した。55年にパリの国際工業博覧会で1等賞を得たリュームコルフの誘導コイルは,40cm以上の火花を飛ばすことができた。この誘導コイルは100万V近くの電圧を発生したと推定される。このような高電圧を発生するにあたっての絶縁処理を彼は巧みに行った。
執筆者:高橋 雄造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報