日本大百科全書(ニッポニカ) 「リヨー」の意味・わかりやすい解説
リヨー
りよー
Bernard Ferdinand Lyot
(1897―1952)
フランスの天文学者。コロナグラフおよび偏光単色フィルター(リヨー・フィルター。リオ・フィルターともいう)の発明者。パリに軍医を父として生まれ、7歳で父を失い、技術者になるため高等電気学校に学び、1917年に卒業して理工科大学校(エコール・ポリテクニク)の物理学教師ペローJean-Baptiste Gaspard Pérot(1863―1925)の助手に採用される。1920年に師の紹介でムードン天文台に入り、1925年に助手、1930年に天文官、1943年に主任天文官に昇進した。1929年に反射光の偏光で学位を得、1930年には望遠鏡内の散乱・反射・回折を除去することをくふうしたコロナグラフを発明、これをピレネー山脈中のピク・デュ・ミディ山に設置して太陽コロナの常時観測を開始した。また1939年に選択波長幅1.5オングストロームという鋭敏な干渉式偏光単色フィルターを作成し、コロナグラフに取り付けて紅炎の活動を撮影した。同年科学アカデミー会員となり、王立天文協会ほか諸学会からも表彰された。日食観測の帰路カイロで客死した。
[島村福太郎]