コロナグラフ(読み)ころなぐらふ(英語表記)coronagraph

翻訳|coronagraph

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロナグラフ」の意味・わかりやすい解説

コロナグラフ
ころなぐらふ
coronagraph

皆既日食でなくても太陽コロナ観測できる天体望遠鏡。太陽本体に比べて100万分の1の微弱な明るさしかないコロナを見るために、望遠鏡内の散乱光をきわめて少なくするように工夫されている。そのために、(1)主焦点位置に月に見立てた円板を置いて人工的な皆既日食にする、(2)対物レンズ単レンズを使い(したがって色収差のあることを承知する)、レンズの表面による反射光を少なくする、(3)対物レンズの縁による回折光を遮るようにしている。さらに地球大気による散乱光の少ない高山に設置される。太陽観測用の科学衛星に搭載され、コロナ中の質量放出現象の観測にも活躍している。また、太陽系以外の恒星にあるかもしれない惑星探査にも、この装置が使われている。惑星はそれを支配している恒星の光を反射させるだけで、自らは光を放射していないので、恒星に比べて非常に暗い。しかし、コロナグラフを使って恒星の光を遮光板で遮ることで、その近くにある惑星の微弱な明るさをとらえることができる。現在のところ、恒星から遠くにある木星に相当するような惑星は見つかっているが、地球のような惑星は見つかっていない。

[日江井榮二郎]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コロナグラフ」の意味・わかりやすい解説

コロナグラフ
coronagraph

1930年,B.リオによって考案されたコロナ観測装置。普通の望遠鏡では対物レンズの端での光の回折などによって太陽像の周囲に強い暈ができてコロナの観測が不可能になるので,対物レンズを平凸単レンズとし,その焦点に遮光板を置いて光球の光をさえぎるとともに,視野レンズと絞りを通過させて回折光の影響を消すようにしたもの。これによってコロナのスペクトル写真や紅炎の美しい写真が常時撮影できるようになった。

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