日本大百科全書(ニッポニカ) 「エコール・ポリテクニク」の意味・わかりやすい解説
エコール・ポリテクニク
えこーるぽりてくにく
École Polytechnique
1794年フランス国民公会によってパリに設置された陸軍技術将校の養成機関であったが、現在ではフランス国防省所管の公務技術者養成の理工科大学校をいう。3年制で、大学とは別系統のエリート養成機関であるグランゼコールgrandes écolesの一つである。軍事技術、土木、建築、造船、地図製作、教職などあらゆる公務に従事する技術者に体系的な科学教育を施す世界で初めての学校として、科学史・教育史上で果たした先進的役割は大きかった。入学はグランゼコールのうちの最難関といわれ、受験生はバカロレア(大学入学資格)を取得したのち、約2年間の準備教育を受け、さらに厳しい入学試験に合格しなければならない。したがって、多くの優秀な科学者や技術者を輩出し、官界ばかりでなく、民間企業のエリート層に卒業生の占める比率はきわめて高い。1972年からは女子にも開放されるようになった。
[喜多村和之]
『門前貞三著『フランスの学校』(沖原豊編『世界の学校』所収・1981・有信堂)』