改訂新版 世界大百科事典 「リンドブラート」の意味・わかりやすい解説
リンドブラート
Bertil Lindblad
生没年:1895-1965
スウェーデンの天文学者。ウプサラ大学で学位を得て,1920年から22年までアメリカのリック天文台およびウィルソン山天文台におもむき,恒星の絶対光度を決定する分光学的方法を見いだした。スウェーデンでは,その後,リンドブラートの方法を応用して,銀河系における星の空間密度分布の研究が伝統的に盛んに行われるようになった。リンドブラートは銀河系の構造について研究を進めて,銀河系が扁平な円盤形をしている理由は回転によっているに違いないと考えた。銀河系の回転運動はオランダのJ.H.オールトによってまもなく観測的に確認された(1927)。リンドブラートの銀河系模型は扁平度も回転速度も異なるいくつもの回転楕円体の重ね合せからなり,全体として同じ向きに回転しているという先進的なものであった。さらに彼は,銀河回転する星々が重力的に共鳴して渦巻腕をつくると考えて理論的研究を進め,後年の密度波理論のもとをつくった。ストックホルム天文台長,スウェーデン王立科学アカデミー会長,国際天文学連合会長,国際学術会議連合会長などを務めた。
執筆者:石田 蕙一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報