改訂新版 世界大百科事典 「リーフアルコール」の意味・わかりやすい解説
リーフアルコール
leaf alcohol
化学式CH3-CH2-CH=CH-CH2CH2OH。3-ヘキセン-1-オール 3-hexen-1-olの別称。植物の若葉に含有され,新鮮な青葉の香気をもつことによる名称である。イソアミルアルコールに似た強い香気をもつ無色の液体で,比重0.86,沸点157℃。水に微溶,アルコール,グリコール等の有機溶媒,エステル類に可溶,油に混和する。ヘキセンオールは二重結合の位置異性体のシス,トランス異性体があるが,二重結合位置が3位で,立体構造がシスのリーフアルコールのみが強い青葉の芳香をもつ。またこの構造のアルデヒド,シス-3-ヘキシレンアルデヒドも同様な甘みのある芳香をもつ。ラベンダー,ゼラニウム油,ライラック,ミント等の花精油の調合時に青葉の香気を賦香するために用いられる。植物の若葉から抽出されるが,テトラヒドロフランまたはアニソールからの合成も行われる。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報