日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ルイ・ボナパルトのブリュメール18日
るいぼなぱるとのぶりゅめーるじゅうはちにち
Der achtzehnte Brumaire des Louis Bonaparte
マルクスの著作。初め『ディ・レボルツィオーン』誌第1号(1852)に発表され、1869年に改訂第2版がハンブルクで単行本として刊行された。ナポレオン1世の甥(おい)で1848年12月以来フランス共和国大統領であったルイ・ボナパルト(ナポレオン)は、51年12月2日にクーデターを行い、立法議会と参事院とを解散し、ナポレオン3世の名でフランス皇帝に即位した。このように3600万人のフランス国民がぺてん師に不意打ちを食わされ、抵抗もせずに捕らわれの身になるなどということが、どうして起こりえたのかを解明した歴史書。そこには史的唯物論の基本命題、階級闘争と革命の理論が、フランスにおける1848~51年の歴史の分析に基づいて展開されている。マルクス主義のもっとも重要な文献の一つ。なお「ブリュメール18日」とは、1799年11月9日のことで、ナポレオン1世が執政政府をクーデターで倒した日である。ボナパルトのクーデターはその再版という意味。
[古賀英三郎]
『村田陽一訳『ルイ・ボナパルトのブリュメール一八日』(大月書店・国民文庫)』