改訂新版 世界大百科事典 「ルビーロウカイガラムシ」の意味・わかりやすい解説
ルビーロウカイガラムシ
red wax scale
Ceroplastes rubens
半翅目カタカイガラムシ科の昆虫。別名ルビーロウムシ。雌雄異形。雌成虫は無翅で,ほぼ半球形。アズキ色の比較的硬い蠟質物で厚くおおわれ,大きさ4~5mm。雄は微小で1対の翅を備える。かんきつ類,モチノキ,ツバキ,カキなどのほか多くの樹木類に寄生して吸汁,加害する。世界各地に発生するが,元来,東洋熱帯地方の原産。日本には明治初期にかんきつ苗に付着して侵入した。関東地方以西に発生し,分布の北限は年平均気温14℃の等温線とよく一致する。年1回の発生,成虫で越冬し,6月上旬ころに成熟して体下に産卵する。孵化(ふか)した幼虫は6月下旬~7月下旬に現れる。雄はまれにしか現れず,通常は単為生殖を行う。天敵のルビーアカヤドリコバチの増殖,放飼事業によって,現在では発生が抑制されている。しかし,ときに大繁殖がみられ,すす病を誘発して大被害をもたらす。
執筆者:河合 省三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報