改訂新版 世界大百科事典 の解説
ルプランス・ド・ボーモン夫人 (ルプランスドボーモンふじん)
Jeanne Marie Leprince de Beaumont
生没年:1711-80
フランスの童話作家。ボーモンとの不幸な結婚を解消したあと,1745年に渡英,教師を務める一方で,主として児童文学の作品を発表して文名をあげ,62年に帰国すると自叙伝傾向の強い《バットビル男爵夫人の回想》(1776)などを著す。生涯に刊行した作品は70冊にも及ぶ。ボーモン夫人は児童文学の執筆に際し,〈幼い魂の優しさにつりあった,すなおな文体〉を志した。今日からみると自然らしさより,ぎごちなさを感じさせる文体で教訓臭が強いが,18世紀に児童文学の読者を増やした功績は認めなければならない。代表作は,〈美女と野獣〉を収めた《子供の雑誌》(1757),《少年少女の雑誌》(1760),《貧者の雑誌》(1768)で,いずれもロンドンで出版された美しい挿絵入りの物語集である。その他処女作の小説《真実の勝利》(1748),晩年の《道徳小話集》(1774),《雑録》(1775)がある。
執筆者:新倉 俊一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報