ルモニエ(読み)るもにえ(その他表記)Camille Lemonnier

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルモニエ」の意味・わかりやすい解説

ルモニエ
るもにえ
Camille Lemonnier
(1844―1913)

ベルギーのフランス語作家。ブリュッセル近郊に生まれ、ベルギーとパリで活動した。若くして美術批評を書き始める一方、小説の執筆に入り、1880年には『雄(おす)』Un mâleを『ヨーロッパ』紙に連載、フランドルの自然を舞台に森の密猟者農場の娘の恋を荒々しいが精緻(せいち)な筆で描き、自然主義的傾向を示した。また翌年『若きベルギー』誌の創刊の中心となり、83年には、官選審査員が5年期文学賞を『雄』に与えなかったことに対しベルギー新文学の旗手たちが激しい非難を浴びせ、同国文学の転換点の象徴的な事件となった。ほかに小説『アップ・シェール』(1886)。クールベやフェリシアン・ロップスFélicien Rops(1833―98)を論じた美術批評も残した。

[遠山博雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルモニエ」の意味・わかりやすい解説

ルモニエ
Lemonnier, (Antoine Louis)Camille

[生]1844.3.24. ブリュッセル近郊イクセル
[没]1913.6.13. ブリュッセル
ベルギーの小説家。フランス語で書く。フランスの自然主義作家,ことにゴンクール兄弟の影響を受け,『雄』 Un mâle (1881) ,『リュパール夫人』 Madame Lupar (88) など凝った文体で露骨な描写をしたが,次第に穏やかな描写美へ向い,『森の涼しいただなかで』 Au cœur frais de la forêt (1900) ,『風車のなかの風』 Le Vent dans les moulins (01) などのほか,子供のための短編小説や,美術評論『生の画家たち』 Les Peintres de vie (1888) がある。

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