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美術批評 びじゅつひひょうart criticism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

美術批評
びじゅつひひょう
art criticism

一般的には美術作品に対するなんらかの判断,ことに価値判断であり,作品の良否を判別し,評価を下すこと。 19世紀以前は価値を評価する裁断批評が有力であったが,その後,批評家の印象に基づく印象批評,鑑賞批評,審美批評が生れた。しかし 19世紀後半からそれらがもつ欠陥を補うため科学的実証的批評が展開された。さらにイタリアのベントゥーリやクローチェらの歴史的批評,イギリスのリチャーズエリオットのように美術や芸術学を批評のうちに含めて考える立場,批評家が芸術家に匹敵する創造性をもって芸術作品に迫り,そのあらゆる細部にわたってみずからの感覚を浸透させつつ再創造を行うという創造的批評などが発展した。

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世界大百科事典 第2版の解説

びじゅつひひょう【美術批評】

美術批評の境域を確定しようとするとき,まず美学,美術史との関連が問題となる。美術批評の眼目が作品の理解,価値判断にあるとして,それに必要な概念,原理を与えるものが美学であり,参照すべき過去の作品についての知識を提供するのが美術史であるというふうに,理論的にはいちおう定義が成り立つが,現実には三つの活動の間の区別は必ずしも判然としない。また,美術作品において新たな価値創造がなされたか否かの判断は,美学的原理をよりどころとし美術史的知識を参照することによって,自動的に解答が得られるものではなく,批評家個人の趣味と呼ばれるものの行使によって,いわばその責任においてなされるものであり,さらに重要な点は,その判断が,対象とする作品そのものにおける創造という新たな事象を解明もしくは表象するだけの言語的創造をなしていなければならないという点にある。

びじゅつひひょう【美術批評】

美術雑誌。1952年(昭和27)1月,戦後美術の出発期にあって日本の美術界が直面している問題,とくに批評と創造の問題を多面的に検討し,新鋭美術家・批評家を支援する目的をもって美術出版社から創刊された。編集長は西巻興三郎。まず,美術家がかかえている苦悩・批判を繰り返しアンケートにより引き出し,美術界に根をおろしている印象批評や技術批評を俎上(そじよう)にのせ,さらに河原温,石井茂雄ら新人作家を紹介し,針生一郎瀬木慎一や,新人評論募集に入賞した東野芳明,中原佑介らの新鋭批評家を登用して,創造的美術批評のあり方を模索し続けた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

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