ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴンクール兄弟」の意味・わかりやすい解説
ゴンクール兄弟
ゴンクールきょうだい
Frères Goncourt
(弟) ジュール・ド Jules (Alfred Huot) de 1830.12.17. パリ~1870.6.20. パリ
フランスの作家兄弟。父はナポレオン軍の士官。兄弟の密接な協力のもとに,フランス 18世紀の社会,風俗に関する詳細をきわめた研究ののち,複雑微妙な当代の人間生活の全貌を,練り上げた文体で綿密かつ客観的に描き出すという彼らの理想に基づいて『ルネ・モープラン』 Renée Mauperin (1864) ,『ジェルミニー・ラセルトゥー』 Germinie Lacerteux (64) ,『マネット・サロモン』 Manette Salomon (67) など多くの自然主義的小説を著わした。弟の死後エドモンが刊行した『北斎』 Hokousaï (96) などの浮世絵の研究は,ことに様式化の技巧について近代ヨーロッパ美術に影響を与えた。彼らの文学生活の記録『日記』 Journal (87~96,完本は 1956~58刊) は,兄弟の辛酸をきわめた執筆生活の記録として,また当時の文人,芸術家,風俗の資料としても興味深い。エドモンの死後,彼の遺言により,兄弟の遺産を基金とするアカデミー・ゴンクールが 1902年設立され,ゴンクール賞を授与している。
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