改訂新版 世界大百科事典 「ルロックドセール」の意味・わかりやすい解説
ル・ロック・ド・セール
Le-Roc-de-Sers
フランス南西部,シャラントCharente県にある後期旧石器時代の遺跡。アングレームの南東約15kmに位置する。1927-29年にマルタンH.Martinが発掘を行った。〈アトリエ〉と名づけられる広場は,深い谷の斜面に位置し,切石で背後を画された矩形を呈している。発掘の結果,旧石器時代人が火をたき,それを囲んで道具を製作したことが明らかになった。この〈アトリエ〉をとりまく石灰岩の切石に,フリーズのように種々の動物像が浮彫されている。これらの切石は自然石の上にのせられていたが,後に浮彫のある面が下をむくように全部倒されて,ソリュートレ後期の層の上に横たわり,しかもその上を同じくソリュートレ後期の層がおおっていた。浮彫の主題は馬,イノシシ,牛,ヤギ,鹿などで,その大部分は身重の雌である。いずれも自然主義的に,量感豊かに表されている。
執筆者:木村 重信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報