改訂新版 世界大百科事典 「ルーアン陶器」の意味・わかりやすい解説
ルーアン陶器 (ルーアンとうき)
Faïence de Rouen
軟質陶器(ファイアンス)を焼成したフランスの最も初期の陶器窯およびその陶器。1530年ころマソー・アバケーヌがルーアンにおいてイタリアのマヨリカ陶器の技法ではじめて焼成した。その後約半世紀を経てエドメ・ポトラが新たに工房を興し,中国磁器を模した白地に青の染付陶器を製作,その嗣子ルイがこれを継ぎ,1673年特許をとりノルマンディー地方の製陶を独占した。ルーアン陶器の特色はレヨナン様式と呼ばれる文様が使われていることである。文様は唐草文,懸花文,アラベスク文,よじれた針金文などを放射状に配し,中心部に紋章や人物文が入った繊細優美な装飾である。18世紀にはロココ様式の影響を受け,赤や黄や緑を加えたシノアズリー装飾の陶器を生産した。
執筆者:前田 正明
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