レトロアフレール(その他表記)Les Trois-Frères

改訂新版 世界大百科事典 「レトロアフレール」の意味・わかりやすい解説

レ・トロア・フレール
Les Trois-Frères

フランス南西部,アリエージュAriège県のモンテスキュー・アバンテMontesquieu-Avantès村にある旧石器時代の洞窟遺跡。1914年にベグエンH.Bégouën伯の3人の息子によって発見されたため,この名(〈レ・トロア・フレール〉とは〈3兄弟〉の意)がある。洞窟は延長750mあり,最深部の部屋と,そこから四方向に出ている短い側廊や部屋に集中して壁画が見られる。多くのビゾンや馬のほか,トナカイ,マンモス,熊,フクロウ,ライオンなどの線刻画が重なりあっている。とくに注目されるのは,最深部の部屋の地面から4mの高所に表された,高さ75cmの〈呪術師〉で,これはこの洞窟唯一の彩画で(線刻を併用),フクロウの目,牡鹿の頭と耳,レイヨウの鬚(ひげ),馬の尾,人間の頭部と脚と男根をもち,上体を前に大きくかがめて踊る。また,ビゾンの頭と人間の下半身をもつ,笛を吹く〈呪術師〉の線刻画がある。いずれもマドレーヌ期に属する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のレトロアフレールの言及

【仮面】より

…それは人間のみに限らない。旧石器時代の絵画や刻画にみえる〈呪術師〉,たとえば有名なフランスのレ・トロア・フレール洞の〈呪術師〉は,牡ジカの角,フクロウの顔,狼の耳,ヤギの鬚,熊の前脚,馬の尾をもつとする解釈がある。仮面を含めて,仮装によって,狩猟の獲物を威圧する超人的能力が付与されたのであろうか。…

※「レトロアフレール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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