宮城県東部、牡鹿郡にあった旧町名(牡鹿町(ちょう))。現在は石巻市の南東端に位置する地域。牡鹿半島南部と金華山、網地(あじ)島からなる。1955年(昭和30)鮎川(あゆかわ)町と大原村が合併して改称。2005年(平成17)石巻市に合併。旧町域は1189年(文治5)より17代にわたって葛西(かさい)氏の領地であったが、1591年(天正19)から伊達(だて)氏の所領となった。平地は乏しいが、三方を海に囲まれ、金華山沖の大漁場を控え、漁業を主とする。中心集落の鮎川は近海捕鯨の基地としても有名。大原、給分(きゅうぶん)、十八成(くぐなり)などの浜ではカキ、ノリ、ワカメの養殖が盛んである。リアス海岸と霊場金華山は三陸復興国立公園(旧、南三陸金華山国定公園)に含まれる。金華山には1200年の歴史を有する黄金山神社(こがねやまじんじゃ)があり、鮎川から連絡船が通じる。また、半島南端の御番所公園は、江戸時代に唐船番所が置かれていたところで、展望台やアスレチックなどがある。給分浜観音堂には国の重要文化財の十一面観音立像がある。なお、女川(おながわ)町浦宿から牡鹿町山鳥渡(やまどりのわたし)まで観光道路「牡鹿コバルトライン」が通じる。
[境田清隆]
『『牡鹿町誌』全2巻(1988、2002・牡鹿町)』
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