改訂新版 世界大百科事典 「ロウヤシ」の意味・わかりやすい解説
ロウヤシ
carnauba
Copernicia cerifera Mart.
蠟を生産することで有名なヤシ科の高木で,ブラジルロウヤシBrazilian wax palmともいう。幹は高さ10~13mとなり,基部はややふくれる。葉は掌状円形,径1~1.5mで深裂する。裂片は60個ぐらい,線状披針形で先端はとがる。葉柄は長く,葉の表面は白色の蠟でおおわれている。肉穂花序は長さ約2m,直立分岐し,多数の小さい花をつける。花は雌雄同株,両性花。果実は卵形,径約2.5cmで褐色に熟す。南アメリカのブラジル,特にセアラ地方に産する。葉からとれる蠟は良質で,ろうそくの製造,靴クリーム,カーボン紙,レコード,クレヨン,かんきつ類のつや出しなどに用い,ブラジルから海外に輸出されている。また幹は建築用,果実は家畜の飼料,葉は屋根ふき用とする。葉から蠟をとるのに2法がある。一つは葉を乾燥した後蠟をかきとる法で,他は葉を細切して水で煮沸し水面に浮いた蠟をすくいとる法である。南アメリカ産で同属のC.alba Morongの葉からも同じように蠟が採取される。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報